<2007年8月8~9日>北陸夏紀行

夏休みを利用し、家族で北陸を訪ねてきました。

能登半島の一人旅(32年前)・金沢への先輩訪問(24年前)・永平寺・東尋坊への訪問(15年前)・「白山」家族登山(4年前)以来の5度目となる「北陸旅」ですが、今回それらに比べればマイナーな観光地をリサーチしてきました。
あまり有名地ではないとはいえ、これが意外にもなかなか見所が多く穴場発見の旅でした。

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          ....北陸、霊峰白山の山麓にある秘境「手取渓谷」と「綿が滝」.....


霊峰「白山」の雪解け水が刻んだ渓谷、その豊かな水に恵まれた加賀・越前の豊穣な水田風景、「加賀一向一揆」の歴史や「吉崎御坊」、奇岩の続く「越前海岸」などを今回紹介いたしましょう。
これらの他にも訪ねてみたい所がいくつかあったのですが、結局はこの3つのSPOTで時間切れ。
やはり北陸の道は長い・・・。見残した場所は数年後にもう一度トライしてみたいと思います。



★白山山麓の絶景渓谷(手取渓谷)

今回は名古屋~東海・北陸自動車道から北上し、白川郷・白山スーパー林道経由で北陸に抜けるルートでアプローチしました。日本三霊山「白山」(2,702m)の北西部に「鳥越村」という豪雪地帯の村があります。ここには白山の豊富な雪解け水を源とする「手取川」が流れており、「手取渓谷」という大自然の造形美が見られます。


.....↓白山麓のグランドキャニオンと呼ばれ、手取川の両岸は迫り来る崖が切り立つ。.....c0119160_212658.jpg c0119160_21261765.jpg
        ....この光景は農村一般道の普通の橋から見下ろせるのだから本当に驚き↑.....


ここには「綿が滝」という豊富な水量をもつ豪快な滝があり、切り立った崖が連続しています。
通常このような深い峡谷を見るには自分の足で歩いてハイキングした結果ようやく見られるものですが、今写真で紹介している光景は鳥越村の生活道路にある普通の橋から見下ろせるものです。
本当に驚きました。地元の人からすれば、これらの美しい絶景・渓谷美は単なる毎日の通学・通勤路の風景の1つにすぎないのです。


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    .....世界的な豪雪地帯「白山」の豊富な雪解け水がこれらの深い峡谷を刻んだ。.....

この切り立った断崖絶壁の上に見られるのは、下記写真のような通常の田舎の水田風景です。
こんな見事な峡谷の上にほのぼのとした田園が広がっている違和感が実に不思議でおもしろい。
世界有数の豪雪地帯「白山」から供給される雪解け水の量は実に膨大。その豪快で速い水流が幾千年の時間をかけて岩を深く削り取り、平野の下にこのような渓谷美を存在させているのでしょう。


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....↑大峡谷の上は何と普通の水田風景! ......広葉樹木にビッシリ生えたヤニタケの群生↑.....


水田から手取渓谷水辺に繋がるルート道があったので、急傾斜の道を降りて行きいざ探索開始。
今年の夏は近年稀に見る猛暑(8/16は史上最高気温40.9度を多治見・熊谷で記録)でした。滝の轟音・水流と緑色の深淵・マイナスイオン溢れる渓谷道を歩けば、涼を味わえて実に爽快な気分!

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...↑綿が滝をシンボルとする美しい手取渓谷遠景.......手取渓谷の川岸に下りてみて探索開始↑....

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...↑.ヒンヤリとした深い渓谷は本当に気持いい。.....草間から流れ落ちるナメ滝の水量は豊富↑.....

この渓谷最大の見所はやはり「綿が滝」!ものすごい水量でゴーッという轟音を響かせて落ちる豪快な滝です。大量の水は名前のとおり、崖上から綿をちぎって投げおろしているようにも見えます。
日本の滝100選にはセレクトされていないのは意外でしたが、その迫力と絶景は隠された日本の名滝の1つではないかと思います。(穴場の滝100選を誰か創設して~!是非とも投票します。)
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     .....↑豪快な「綿が滝」。水量が本当に多く、真っ白な綿を千切って
                 投げているように見えることからこの名がついている。.....


そしてこの滝の素晴らしいところは、滅多に見られない光景が実に手軽・間近に見られるのです。
それは「大量水が流れ落ちる滝壷」と「滝の最上部」、この危険な景色を簡単に覗き込めることに大感動!やはり峡谷上部に平野が広がるこの特殊地形でなければ手軽には体験はできません。


....↓滝壷に下りてみると、ゴーッという大轟音とともに大量の水!マイナスイオンが溢れ立つ.... c0119160_2254476.jpgc0119160_226679.jpg
...滝の最上部から滝壷を覗き込んでみる。簡単にこんな光景が見られるとはアンビリーバボー!↑....


この手取川・鳥越村は「加賀一向一揆」において最後の戦いが繰り広げられた所です。
北陸における一向一揆は「百姓の持ちたる国」と云われるように、浄土真宗門徒である地元農民が力強い信仰心で一致団結して守護富樫氏を滅ぼし、自治独立国家を築いたことが始まりです。

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    ....加賀一向一揆の里。手取川の鳥越城は、一向一揆・最後の合戦舞台となった。.....


織田信長が天下統一に向け数々の仇敵を打ち倒していく中で、手こずったのは2大宗教勢力「比叡山」と「一向宗」ですが、「延暦寺焼討ち」「一向門徒の虐殺」と信長は相当ヒドイことをしました。「加賀一向一揆」のせん滅に向けて信長が差し向けた柴田勝家の軍勢に対して、最後まで抵抗していた信仰農民はこの鳥越城と手取川で血みどろの戦いに敗れて悲惨な末路を迎えたのです。
この日は地元の町興し行事「鳥越一向一揆まつり」の盆踊り櫓が真夏の青空に映えていました。

リンク:「百姓の持ちたる国~加賀一向一揆」HP



★吉崎御坊

「吉崎御坊」とは北陸における浄土真宗の一大布教拠点です。浄土真宗の開祖はご存知「親鸞」ですが、中興の祖と呼ばれているのが「蓮如」です。比叡山延暦寺から迫害を受けた本願寺の「蓮如上人」は京都から逃れて、1471年この越前吉崎の地に新たな布教拠点を建立しました。


.....↓「蓮如」が建立して、浄土真宗の北陸布教拠点となった「吉崎御坊」.....        
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  ....浄土真宗の門徒達を中心とする一揆が、「一向一揆」と呼ばれ大名から恐れられた。.....

「南無阿弥陀仏」の六号さえ唱えれば極楽浄土に往生できるというシンプルな教え・修行スタイルは農民にとって非常に分かり易く、あっという間に北陸一帯に信仰を集めてここに有数の宗教都市を築いたのです。そういえば柏崎の母方祖母本家も信仰心の篤い浄土真宗です。この地がなければ、北陸を中心に東海・東北まで広まった「親鸞」の教えの隆盛はなかったのではないでしょうか。


....↓ご本尊は勿論、阿弥陀仏。金仏壇は光り輝く極楽浄土が再現(ナムアミダ~ブツ).....c0119160_22224783.jpgc0119160_2223512.jpg 
                          .....浄土真宗の中興の祖「蓮如上人」の大立像↑..... 

吉崎の地は、加賀越前の国境にあるところで「北潟湖」という汽水湖があります。
「汽水湖」とは海水と河川淡水が混じりあった湖。有名な所では浜名湖・サロマ湖・宍道湖・三方五湖などがあげられますが、北陸の汽水湖は広い空と湖の他に「稲穂水田と緑深い杜」が混在した湖風景を見せており、独特・癒しの雰囲気は気持ちのいい湖畔ドライブを経験させてもらいました。

.....↓「吉崎御坊」の丘陵から見下ろすに注ぐ「北潟湖水路」と日本海.....
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      ...「北潟湖」は加賀平野から日本海汽水湖。静寂なる癒しの風景が広がる。↑...


★豊穣なる加賀平野

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...黎明の白山山脈、秘峰「芨ケ岳」も見える。.....加賀平野から望む霊峰「白山」(2702m)の雄姿....


北陸の田園地帯を走り抜けていく中で「羨ましいな・・」と感じたことは「余裕の雰囲気」。
青々とした田んぼの里には「一軒々の造りが大きい家」が点在しており、圧迫感なくゆったりした加賀平野の空は非常に広く感じられます。
(コンビニ・ファミレスのロードサイド店舗や高い建物も少なく見渡せば白山連峰が聳える郊外風景)
実に気持ちいい車窓の景色、豊かな穀倉地帯で穏やかに暮らす人々の感じが伝わってきました。

全国住みやすい都道府県」の調査結果では北陸3県は必ずといっていいほど上位に入ります。
持ち家比率の高さ・家の広さ・1人当りの収入・車有保有率などが全国一、自然に恵まれて水や食材・料理が非常に美味しい、災害が少ない、県民の教育水準は高く、歴史ある文化にも恵まれている、等がその要因・理由とのことです。          

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      ....加賀平野の水田風景や空は本当に広々として余裕が感じられる。..... 

故郷新潟県の隣接であり冬の日本海気象は一緒なのに「住みやすさ度」で差がついているのはちょっと悔しいですが、実際に訪れてみると納得できるような気もします。
水や自然に恵まれて食べ物が美味しい点は新潟県も同様なものの、やはり北陸3県は広い意味で歴史が深い関西圏に属しており、北前船貿易での繁栄・加賀百万石の前田利家の治世のもとで築かれてきた歴史・文化・裕福さがあります。この点についてはちょっとかなわないのかな・・・。


★奇勝が続く越前海岸

渓谷・山麓・平野の次は、海岸線に出てみましょう。
越前海岸(東尋坊~越前岬)は奇岩・奇勝が多く国定公園に指定されています。
東尋坊を訪ねるのは今回で2度目ですが、波間に聳える圧倒的な断崖はやはりスリリング!
(チャッチャッチャ~♪火曜サスペンス劇場!)

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    .....ご存知、北陸の名勝「東尋坊」。自殺スポットやサスペンス劇場の舞台で有名.....

この景勝地の名の由来を調べてみると、興味深くておもしろいことがわかりました。(^~^)
白山麓にある名刹「平泉寺」の悪行坊主「東尋坊」が、恋仇によってこの断崖から突き落とされたことからこの名前が付いたとのこと。
(まさに人間愛憎・火曜サスペンス劇場の世界そのものではありませんか!)
長い越前海岸を南下していくと奇勝が延々と続き「呼鳥門」という自然造詣トンネルも見えてきます。


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.....越前海岸は奇岩の連続(東尋坊にて).........「呼鳥門」↑侵食で造られた巨大な自然トンネル...

海岸線から内陸部を横断し「織田町」(織田一族のルーツ・越前焼の里)という街を経由して、武生インター(現・越前市)から北陸自動車道に入って帰路につきました。
当初予定では、安宅の関(義経・弁慶勧進帳)や北前船・九谷焼の博物館も見るつもりでいたのですが、長大な北陸路は移動に結構な時間がかかります。ついには全部見切れずにタイムアウト・・
まあ見残したところはまたいつかゆっくりと来て見たいと思います。



日本の風景、実際に訪ねてみると各地域でそれぞれの雰囲気・特色が違います。同じ北陸地域の中でも然りでしょう。次回6回目の北陸旅では、どんな発見があるのか、自分がどんな感じ方をするのか楽しみでもあります。

                                                    おわり



09GW:北陸紀行にもこの名滝・史蹟は登場します。↓
       リンク記事:「ちょっと渋めの玄人旅、09GW北陸紀行(その1)

  by rollingwest | 2007-08-08 21:15 | 旅の風景 | Comments(11)

Commented by マリリン at 2007-08-29 02:45 x
それにしても、美しい自然は、何にも勝る芸術作品ですね。又、手入れの行き届いた田園風景、棚田などを見ると、そこに住む人々の丁寧な営みが心地よく感じられます。
 我が家も浄土真宗。なるほどなるほど・・・・わけもわからず、ただただ先祖を拝んでいる、勉強不足の私です。
Commented by rollingwest at 2007-08-29 09:02
豊かなこれらの自然・田園風景・文化は豊かな水が育んでいることがよくわかりました。やはり日本は水に恵まれた国ですね。
Commented by 食山人 at 2007-08-29 09:58 x
昨年秋、金沢・白山スーパー林道を旅した際に手取川を見て感動しました。金沢の料亭つば甚で昼に飲んだ日本酒「手取川」はもっと素晴らしかった???
Commented by rollingwest at 2007-08-29 10:07
いや~水が豊富で美味しいとお酒も素晴らしいのでしょうね!
これこそ隠れた通好みの名酒なのでしょう。
そういえば北陸の旅は、食山人たちと行った「荒島・金剛堂山」もありましたね・・。金剛堂山は、守門岳と雰囲気が似て広々として雰囲気ある素晴らしい山でした。
Commented by shingo at 2007-08-29 17:13 x
写真うまいなあ!このすばらしい景観を眺めているとまるで自分がその場にいるような気持になるぞお。
ああ、ゆっくり旅がしたくなった・・・・・。
Commented by rollingwest at 2007-08-29 22:25
思い立ったら吉日!早速に家族に確認して秋の温泉宿を予約し、旅行計画を立てましょう。計画立案の時から旅は始まるのであり、それも大きな楽しみの1つです。スケジュールが決まってしまえば、来るべき日に向けてカウントダウン、そんなワクワクする気持ちも旅の醍醐味です。
Commented by matsu at 2007-09-07 08:46 x
 おはようございます。北陸3県は、東京からだと交通のアクセスが悪く行きにくいのが難点ですが、自然、文化、食など様々な面で魅力的なフィールドですね。北陸エリアでは、「一向一揆」とともに、私の研究テーマである「立山曼陀羅」「白山信仰」を究める意味でも、来年はじっくり探訪してみたいと思っています。
Commented by ローリングウエスト at 2007-09-07 09:46 x
M本様、ご来訪いただき誠にありがとうございます。
9月11日の飲み会では、200名山のお話や北陸文化の研究テーマについてさせていただくことを楽しみにしております。
今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by マリリン at 2007-09-08 05:51 x
旅行計画か~。私は旅行計画立てるのが苦手なのです。自分の好きな仕事で誰かに会いに行きたい・・・となると、思ったが吉日なのですが。子供にとって、できのいい気の利いた母親ではありませ~ん。「来るべき日に向けてカウントダウン、そんなワクワクする気持ちも旅の醍醐味です。」の感情が、いまいち欠ける私です。
Commented by rollingwest at 2007-09-08 08:54
思いつきでパッと出かけるのもい~んじゃないすか~(笑)
Commented by おっちょこ at 2008-01-07 23:05 x
しかし、中身の濃い人生ね~Nさんは・・・。写真を見て、「あれ・・この写真あったっけ・・・」なんて思いながら・・・・ボケが益々ひどくなっている自分にふと気づかされます。今、娘がこのブログを見て、「ママ、トランプをしている時もそうだよね・・カードもらったっけ・・どうだったけ・・・」てね。(笑~~)

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