<2009年9月大型連休>北海道・日高山脈の難関峰:「ペテガリ岳」 (前編)
★プロローグ
今から約30年前に新入社員で赴任した土地が北海道であったことから、大雪山・トムラウシ・十勝岳等の百名山、夕張・ニセコ・羊蹄山・駒ケ岳など、北の国の名峰はいくつか登ることができました。
しかし日高・知床の山々はヒグマの巣である故に恐れ、当時は足を踏み入れたことがありません。
.....日本で最も原始性を残す日高の奥深い山々(左・1839峰、右・ヤオロマップ岳).....
知床の方は世界自然遺産指定で一大観光地、交通利便が優れているため当該周辺の諸名山の踏破は比較的容易です。しかし日高は日本に残された最も原始的な山脈。奥深い山でアプローチが難しくここに入るには相当な体力・経験・知見が必要。日高への挑戦が今回初めて実現しました!
日高山脈は十勝・帯広から襟裳岬に向けて連なる山々で、総延長は120km以上に渡る重畳たる大山脈です。幌尻岳は百名山として有名ですが、他の山は一般の人には殆ど名が知られぬ超マイナーな存在。いつか踏破したいと憧れ続けた山々、まだ体力ある内に挑戦しないと実現は厳しい・・
......冬の日高山脈全景、実に大絶景!(インターネットからの航空写真を拝借).....
そんな漠然とした気持の中、200名山達成にあと10数座を残しリーチ寸前となったマツ殿から、9月大型連休に日高の遥かな名峰「ペテガリ岳」に登らないかとお誘いがかかりました。これはチャンス!マツ殿の綿密で余裕ある山行計画に信頼を寄せ、30年ぶりに日高路をめざすことになりました。
★エアフライト、秋の北海道
29年前、新入社員として北海道赴任した時、上野から国鉄東北本線に乗って翌朝に青森駅到着。青函連絡船で海を渡り、函館本線経由で室蘭に入りました。長い道程で遥かな北国に来たのだと感慨深いものがあったなあ・・。今は誰もが気軽に羽田から新千歳まで1時間半、時代は変わった
........羽田空港を出発 (炊事用コンロのガスカートリッジは機内一切持込み不可、北海道で調達).....
今年の9月は残暑のブリ返しが殆どなく、全国的に早い秋の訪れでした。9月中旬には北海道で初冠雪を記録したというニュースも流れており、山装備は防寒具を厚めに揃え準備万端としました。
...... 09..9.12に北海道の初冠雪を早くも記録した。(大雪山が白く雪化粧).....
10:30羽田空港発、昼に新千歳空港へ到着。レンタカーは簡単に借りられると思っていたら、大型連休で需給は超タイトで誤算!幸運にもラスト1台を何とか調達できましたが、この時期は予約必要と反省
.......新千歳空港に到着、レンタカーを調達して苫小牧・日高方面へ.....
空港から南下して苫小牧・勇払方面に車を走らせて行くと、バードサンクチュアリ(野鳥の楽園)で有名なウトナイ湖が出現。ゆったりした湖畔で鳥が寛ぐ風景・・、北海道に渡って来たことをまず実感する。
.......新千歳空港から苫小牧へ向かうと野鳥の楽園「ウトナイ湖」が左手に見える。.....
..........湖岸には、白鳥2羽&黒鳥1羽。(我々人間様とは時間の流れ方が違う).....
★日高・サラブレッドのふるさとを行く
日高自動車道に乗り、雄大な勇払原野を通りぬけていくと海岸沿いの国道235号線を走り続けていきます。日高本線沿いルートは情緒あれども変化が少なく単調だねエ・・。襟裳はやはり何もない。
.....苫東・勇払原野や日高本線沿いの道を走るのは北海道勤務時代以来だ。約30年ぶり......
しかしこのルートには心が癒される見所が多く点在しています。ここは競馬サラブレッドの一大牧場地なのです。そういえば28年前、新冠・明和牧場にいたハイセイコーに会いに来たものだなあ・・。
悲劇の名馬・テンポイントの墓をお参りに吉田牧場に来た記憶もあるぞ。実に懐かしい雄大風景!
.......日本のサラブレット馬の故郷・日高、「新冠・静内・浦河」の牧場風景......
リンク:「日本競馬史を飾った名馬たち」の記事はコチラを参照
リンク:「日本競馬発祥の地」の記事はコチラを参照
不況知らずといわれた競馬業界もバブル崩壊後15年を過ぎて厳しい時代を迎えているような気がします。サラブレット生産者や馬主も今は経営が大変だろうなあ・・。でも夢を追い続ける人達は・・。
.......この子馬たちもいつの日かダービ-馬に輝きたいと願っているのだろうか・・。......
★日高海岸沿いにある穴場温泉(夕日の絶景)
......「みついし昆布温泉:蔵三」は日高海岸沿いにある新設のスパ温泉、素晴しかった!.....
初日の宿泊地は、日高山脈にアプローチするSPOTで事前に豪華な気分を味わうことができました。
日高西海岸の真ん中位置に三石(mituisi)という地名があります。そこにスーパー銭湯風の「みついし昆布温泉:蔵三」が見えてきた。当温泉は料金の安さ・中味の充実度でインターネットでも話題の宿。
.........静かなる太平洋の海凪、刷毛でサッと書いたような秋の空.....
宿チェックイン後に目の前に広がる海岸を散策してみることにしました。テトラポット護岸脇にはいくつかの砂州・砂浜があり、日が暮れてまったりした時間が流れている。北の国の風情が漂っているね~
.......カモメも寛ぐ夕暮れ時の海、明日も確実に晴れだなあ・・......
.....ついにサンセット!何と美しい~。露天風呂からこの絶景が目前に広がっていたのだ!......
夕暮景色を堪能した後は、温泉と豪華食事を堪能~!新鮮な北海刺身・三石和牛・グリーンアスパラ・つぶ貝五目飯、奥深い山に入ったらこんな料理はもう口にできない。前夜祭で十分満喫しとこう・・
.......高級感があり、かつ庶民的なスパリゾート「蔵三」。料理も実に豪華で素晴しかった!......
★ペテガリ岳・登山口へのアプローチ
朝食後に宿の駐車場前に広がるサラブレット牧場を散策してみれば、秋晴れの緑で輝いています。
その広大な緑平原の遥かには、日高山脈の長大な稜線がクッキリと見えました。実に雄大ですね~
.....宿泊地「蔵三」の眼前は、広大な牧場。その向こうにはこれから挑戦する日高の山々.......
..........北の国のロバくんが、ノソノソと近寄ってきた。餌チョーダイ・・......
いよいよペテガリ岳登山口へ向け出発~!車は荻伏という海岸の町から左に折れ込んで北上し、いくつかのサラブレッド牧場の風景を突き抜けて行きます。いよいよ日高の奥深い林道からアプローチ!
.........絵画のような牧場風景。3頭のサラブレッドは日高の山を見ながら育ちゆく。......
この長い林道は現在途中でゲート遮断されています。日高南部森林管理署(静内)で申請して鍵を受取らなければその先の登山口(神威山荘)まで車で行けません。年々変わる登山道の交通事情、な~るほど、なぜ日高の山地図が一般に市販化されていないのか理由があらためてわかった。
....(左)林道奥にペテガリ岳の鋭峰が現れた!(右)営林署に鍵を借り、ゲートの施錠を外す。.....
..........「神威山荘」にて、ここからペテガリ岳への登山が始まった。........
車は林道の終点「神威山荘」にようやく到着、ここにレンタカーを置いて登山口へと向います。沢登りをして一つの山を越えなければ、ペテガリ岳登山基地に着きません。この不便さが魅力なのかも・・。
★いきなり沢登りでの山越え、「ペテガリ山荘」へ宿泊
行程はいきなり川を渡って沢登りからのスタート!まずニシュオマナイ川を渡り中ノ岳からの尾根を越して、ペッピリガイ沢川に降り、林道沿いに進み「ペテガリ山荘」を目指すコースです。アイヌ語源は難しい~!
.......(左)ニシュオマナイ川の流れ (右)登山開始後にすぐに川を渡り、深い渓谷に入り込む。......
.....いきなり沢登りが始まる。斜面は滑りやすく荒れ様相だが、赤テープで道は見失わない。......
当日は好天で沢の水量が少なかったので大きな支障はありませんでした。それでも倒木があったり、滑りやすい道は歩きにくい。大雨が降ったらこのコースは間違いなく危険な道になることでしょう。
.......日高の山で見た花々 (左)ミヤマトリカブト (中)マムシソウ (右)サワヒヨドリ.....
尾根のコブ極め、下りきるとついにペッピリガイ沢川の平原に出ました。うわっ、ヒグマの糞を発見~!
熊よけ鈴を鳴らしながら歩いているので、余程のことがない限り遭遇しないと思うけど・・(チト、恐~)
......ペッピリガイ沢川の平原は奥深く独特の雰囲気が漂う。ヒグマの糞は黒くコロコロしている。......
ここからペテガリ山荘への林道が長い。2時間も平坦道を歩くのは本当につまんない・・。ようやく小屋に到着~!日高奥山の無人小屋なので相当オンボロかと思っていたら、何とお洒落な小屋だ!
......ペッピリガイ沢川から長~い林道に入り、宿泊の「ペテガリ山荘」(無人小屋)に到着.....
布団・炊事道具・ストーブまで完璧に揃っている小屋。実は静内から山小屋まで林道は通じていますが、地元山岳・林野関係者のみ車通行可能とのこと。現在一般には道を開放してないようです。
.....小屋の前には鹿の親子が出現!小屋にはストーブが炊かれて夜を迎える。明日は快晴.....
この小屋はペテガリ岳登山の基地。明日は往復(約12時間)で登頂をめざすことになります。ストーブの暖かい火に包まれながら夜は満天の星!間違いなく明日は素晴しい絶景が見られそうだ・・!
つづく
↓ペテガリ岳(後編)に続く
# by rollingwest | 2009-10-31 23:45 | Comments(38)