ボブ・ウエルチ 「悲しい女」

★(141)ボブ・ウエルチ 「悲しい女」(Sentimental Lady) (1977年) (2016.2.24公開)



c0119160_21355479.jpg我々世代がイメージする「フリートウッド・マック」は1970年代中期の2大名盤「ファンタスティック・マック」(1975)と「噂」(1977)で世界を大席巻していた頃の姿です。女性ボーカル2名(スティービー・ニックス&クリスティン・マクヴィー)と、リンジー・バッキンガムとの三者三様の美しいボーカルが織りなす美しいメロディや分かり易いPOPなサウンドが実に魅力的で、RWが大学生時代に嵌っていたバンドの筆頭的存在でした。しかし創設期(1967~1970ピーター・グリーン主導時代)は完全にコテコテの泥臭いブルースバンドであり、往年のファン(今は70才前後)からすれば「何でこんな変節をしてしまったんだ・・、裏切られた」と落胆した方が多かったと聞きます。ピーター・グリーンなど初期メンバーが相次ぎ脱退した後に、バンドに加入したボブ・ウエルチは1972~73年にジャズ・ロック的アプローチの楽曲等をフィーチャーしバンドの音楽スタイルを変遷させていきました。ウェルチ在籍時代のフリートウッド・マックは5枚のアルバムを出して商業的にも健闘しており「ヒプノタイズド」(1973神秘の扉)などをヒットチャートに送り込んでいます。フリートウッドマックが世界的にブレイクするのはボブ・ウェルチが1974年にバンドを脱退した後(LバッキンガムとSニックス加入)ですが、彼がバンドの音楽スタイル変化のトリガーを弾いた中継ぎ期の中心人物であったことは間違いありません。新生フリートウッド・マックがPOP路線に完全転換し金字塔名盤「噂」(1977)で全盛を誇った年は、バンド脱退したボブウエルチにとっても同時に最大の栄光時代でした。初のソロアルバム「フレンチ・キッス」(1977)はポップでキャッチーな曲で構成された名盤で、冒頭掲載曲の「悲しい女」(Sentimental Lady)・「エボニー・アイズ」(最終締め曲)「ホット・ラヴ,コールド・ワールド」と連続3曲の大ヒットを飛ばし200万枚も売れる大成功をもたらしたのです。この名盤制作にはフリートウッド・マックのメンバーも共演していたのでお互いに相乗効果もあったのでしょうね。次作「スリー・ハーツ」(1979)も同じ路線の焼直し的なアルバムでしたが、売上げは100万枚を突破し「プレシャス・ラヴ」「チャーチ」もヒット、その後に日本公演を行っています。このアルバムの中ではビートルズ名曲「アイソーハー・スタンディングゼア」をAOR風にアレンジしているのも興味深い・・。しかしその後アルバムセールスは落ち込んでいき、彼の人生は徐々に転落への道を辿っていきました。ヘロイン中毒で入院し麻薬所持で逮捕された後、表立った音楽活動から遠ざかり、そして4年前にはショッキングなニュース(ナッシュビルの自宅で銃自殺)が入ってきたのです。最近は亡くなったアーティストばかりを掲載していますが、人生の評価は「終わりよければ全てよし」(有終の美を飾ってこそ・・)、 全盛期の明るいPOPなイメージの彼には似合わないような不幸な人生の終焉には悲しい気持ちにさせられます。最後の締め曲は彼の大ヒット曲の一つ「エボニーアイズ」(1977)を紹介し前向きな気持ちで哀悼したいと思います。この精悍なサウンドは、大学生時代に一人でテントを担いで九十九里浜(千葉)の長大な砂浜(66km)を1泊2日で単独踏破した時(お馬鹿というしかありませんが学生時代に3回歩きました)、ラジオから流れるボブ・ウエルチの曲に鼓舞されたことがよき思い出です。彼からエネルギーをもらって荒波寄せる延々と続く砂浜を無事に歩き切れたことに感謝・感謝~!

  # by rollingwest | 2002-11-01 00:15 | 洋楽(ロック・POPS)

フリートウッドマック 「ドリームス」

★(010):フリートウッドマック 「ドリームス」  (1977年)                 (2011.9.11公開)


c0119160_628826.jpg1970年代中期の洋楽POPヒットチャートを席巻した「フリートウッドマック」の最大ヒット曲「ドリームス」を紹介。1977年リリースの最高傑作「噂」(Rumours)からのシングルカットは全米第1位に輝き、彼等をイーグルスと並ぶ米国ロックの代表存在(アルバムは31週間・米ビルボード1位、1700万枚セールス)に導きました。淡々としたドラムスと堅実に奏でるギターとシンバル、絡むような印象深い女性ボーカル(スティービーニックス)、風格ある名曲でした。POP名曲の数々「ライアノン」「ゴーヨアオウンウェイ」「ソングバード」「ドントストップ」等の名曲は小生の寂しき青春時代を癒してくれました。実は元々彼らは当初は泥臭いブルースバンドでした。1967年、ミック・フリートウッド(リーダー)&ピーターグリーン(ブルースの盟主)により英国で結成され、ローリングストーンズと並ぶ白人ブルースで人気を博していました。その後音楽性の違いから70年にピーターが脱退、相次ぐメンバーチェンジや音楽性の変換でバンドは低迷期を迎えます。しかし1975年に2人の女性ボーカル(スティービーニックス&クリスティーンマクビー)を迎え一挙にPOP路線へと転換。新生メンバー再出発の「ファンタスティック・マック」(1975)は大ヒット、栄光への邁進となりました。泥臭さをこよなく愛するブルースファンの立場からすれば、一挙に軟弱路線へ変節した堕落バンドだったのかも・・。当時そんな背景を知らなかったRWは、洗練のPOPサウンドに魅せられ、夢中でFENラジオから彼らのヒット曲を毎日聴いていたのでした。

  # by rollingwest | 2002-11-01 00:14 | 洋楽(ロック・POPS)

デビッドボウイ「ラザロス」


★(139)デビッドボウイ  「ラザロス」 (2016年) (2016.1.24公開)



c0119160_8572534.jpg「20世紀で最も影響力あるアーティスト」デヴィッド・ボウイ死去(1月10日・享年69歳)のニュースは、全世界に大衝撃・喪失感を与えています。彼の影響力がいかに大きかったのかその偉大さにあらためて驚くばかり・・。デビッド・ボウイは18ケ月間がんと果敢に闘った後、家族に看取れながら安らかに息を引き取ったとのこと。デヴィッド・ボウイ記事は【第5巻】(043)で一度掲載したきりですが、今年は続編で1980年代曲(レッツダンス等)をレポートする予定だったので、突然の訃報に茫然・・。今回は、彼が全世界ファンに別れを告げるようにリリース(亡くなる2日前)した遺作ブラックスター】の全7曲を紹介します。現在このアルバムは小売店で品切れが続出、すでに初登場全米・全英1位に輝いており、さらに売上を伸ばし歴史的名盤になる可能性も高い!生前の彼が終ぞ成しえなかったNO1快挙を有終の美で飾ることができて本当によかった・・!上記に掲載した「ラザロス」(アルバム収録3曲目)は全体を覆うサックスサウンドが印象的でボウイの歌唱力が光るミディアムテンポな重厚曲。ユーチューブ映像は彼がまさにガンと闘病している最後の自分自身を映し出しているではないか~!この映像は彼がファンへの「別れの挨拶」だったという情報が後日明らかにされました。「ラザロス」とは新約聖書(ヨハネ11章)に登場する人物(死後4日目にイエスによって蘇らされたラザロ)で、今回全米NO1となり世界に蘇ったボウイの姿そのものを予言した暗示的な題名・・!それでは遺作盤の全てを紹介しましょう。冒頭曲はアルバムタイトル名にもなった10分近くの長い曲「★ブラックスター」でスタート。死の暗黒星へと旅立つに際して、人生の裁きを受ける前の恐怖が感じられ沈潜・浮上が繰り返される暗示的な曲。聴く側も耳をそらすことができない彼の深い叫びがひしひし迫ってくるようです。2曲目の「'Tis a Pity She Was a Whore」は激しいビートに吹き込まれる様ななサックス(ピンポイント爆撃の上空映像が連続)と彼のボーカルが随所に登場する不思議な曲、「スー」(Or In a Season of Crime)はジャズロックサウンドと融合した深淵な雰囲気を感じさせるイメージ、死を間際にして人生の懺悔を歌いあげているのか・・? 第5曲目「ガールラヴズミー」はややノスタルジック曲調でボウイのエコーヴォーカルが魅力的!往年の退廃的なムードと中性的なボウイのエロい妖しさが溢れ出ておりオールドファンには喜ばしい限り!艶溢れる声、妖しい色気ある容姿(昔の映像かな?)を見ればとても病床にいたとは思えぬ程、衰えを感じさせない・・!我々世代が夢中になったデビッドボウイは1970年初頭、当時出現したグラムロックの両雄が強烈な印象で音楽シーンを席巻!一世風靡していたマーク・ボラン(Tレックス)が悪魔的エレキサウンド全開のスタイル、そのライバルだったボウイは宇宙人ジギー・スターダストとして地球に舞い降り、中性的かつド派手なコスチューム(歌舞伎チックかも)でハードなロックサウンドを次々披露していました。さて再び遺作紹介へと戻りましょう。第6曲目「ダラーデイズ」はサックスソロが全体を引き締める正統派なボウイサウンド!宇宙的な神秘性もありデビッドボウイの音楽人生がこのユーチューブに全てレビュー総括されている気がしています。RWはこの曲が一番お気に入り、地球の皆様に対する実質的な締めの曲なのかも・・。そしてアルバム最期の曲(生涯を閉じたフィナーレの7曲目)は「I Can't Give Everything Away」、ストレートで深みあるロックはまさにボウイの定番サウンドが展開され1970年代LP時代の雰囲気も漂います。曲題を直訳すれば「私は皆さんに自分の全てを与えられず、ついにあの世へと去る・・」こんな心境を彼はノスタルジーを込めた曲で惜別の挨拶しているのだろうか・・?←いえいえ・・何を仰る、ボウイ様!貴殿は地球・全世界の皆様に十分過ぎる程に素晴しい贈り物を沢山して頂きましたよ・・! 死の病床にありながら往年の美しさを失わずこれだけのアルバムを創り上げたとは・・、まさに驚異の生命力と執念!彼の美学を最期まで突き通した姿に唸らせられます。彼が大ブレイクした1970年はビートルズが解散した年、世界の若者達は新たなスターの出現を待望していました。次々と音楽スタイルを変化させ時代を先取りしていったデビッドボウイ、まさに「20世紀で最も影響力あるアーティスト」の冠名に相応しいのかもしれません。(ビートルズやストーンズは、最も影響を与えたのは当然俺達に決ってるだろ!と自負してるでしょうが・・苦笑) 
往年のロックスター達も年を重ねて鬼籍に入る方が多くなってきましたが寂しい限りです。さようなら・・デビッドボウイ、地球に降りて来た宇宙人、再び天に戻ってもバサラな格好で先鋭的な曲を歌い続けて下さい。あらためてご冥福を祈念したいと思います。

  # by rollingwest | 2002-11-01 00:14 | 洋楽(ロック・POPS)