<2023年6月下旬>「檜枝岐温泉」~残雪・池塘の「会津駒・中門岳」登山
6月下旬、往年の山仲間4人で尾瀬に近い秘境・檜枝岐温泉に2泊し南会津の名峰「会津駒ヶ岳」(日本百名山2133m)に登ってきました。Fツアー山仲間のK岡氏・Ecchan・M越さんと数年前から構想を立てていましたがコロナ等で延期が続き、今回漸く4人の夢が叶い登頂できました。
6/25朝、武蔵小杉駅で4人集合し、K岡氏車に乗り合わせ東北道を北上。西那須野塩原ICで降り南会津の秘境・檜枝岐温泉へ向かいます。早めに着いたので「ミニ尾瀬公園」に立ち寄ってみよう!檜枝岐は尾瀬湿原への入口でもあり、尾瀬をテーマにした湿原風景が再現されています。
尾瀬の大自然を気軽に体験できる場所として1999年開所した湿原公園はニッコウキスゲ、コマクサ、水芭蕉など尾瀬エリアの山に咲く草花が植栽されており、登山者でなくても尾瀬の花を1ヶ月早く鑑賞できます。天然イワナが静かに泳いでいる風景を味わえるなんていいね~!
.....(上)尾瀬を再現した公園の散策路を巡る (下)穏やかな川面にイワナ発見....
園内は湿原周遊地・ロックガーデン・山里山野草の3エリアに分かれ、また尾瀬をテーマにした写真美術館・尾瀬書美術館もあります。登山前日の観光で懐深い自然に心が癒されました。
.....(上)ヒオウギアヤメも咲き誇る (下)避暑地的な広場、滝が注ぐ池で遊ぶ子供達....
★次は「檜枝岐歌舞伎」の舞台を見学、檜枝岐温泉「翌檜」に宿泊して前夜祭!
まだ観光に時間があるので、次は檜枝岐で受け継がれた歌舞伎舞台と伝承館を見学してみよう!檜枝岐舞台・鎮守神社への参道の途中にある「橋場のばんば」という御婆さん石像があり、欠けた前歯を出した笑顔で子供を水難から守ってくれる地元の水神様として祀られています。
..... 檜枝岐舞台への通り道には「橋場のばんば」、ハサミ供養堂は実にユニーク....
堂内に沢山のハサミ(悪運を断ち切る願い)が奉納されており、良縁を切りたくない人は錆びたハサミを供えるなど個性的な祈願方式ですね~。奥へと進むと檜枝岐歌舞伎の奉納舞台が登場!村民達が演じ本格的な衣装も自前という手作りの歌舞伎舞台には花道も備わっていました。
....檜枝岐歌舞伎の上演舞台、茅葺の手作り木造建築は素朴ながらも風格が漂う....
270年以上の歴史を持つ檜枝岐歌舞伎の上演舞台(国の重要有形民俗文化財)は神社の社殿に面して構えられた茅葺の木造建築!その堂々たる威風・存在感に感銘し見入ってしまいました。
.....神社の石階段が観覧席、檜枝岐村民が江戸時代から伝承してきた地場歌舞伎...
また観客席は露天(コロシアム風)で神社への石階段がそのまま自然の観覧席になっています。半円状斜面は音が反射して音響効果も高められ、自然地形を巧みに利用した舞台なのです。千葉之家花駒座・舞伎伝承館にも入ってみよう!檜枝岐歌舞伎の貴重な資料が展示されていました。
.....「檜枝岐歌舞伎・伝承館」、千葉之家花駒座が保存継承してきた展示の数々....
地元観光を終え、連泊する「翌檜(あすなろ)」に投宿!お洒落なロッジ風温泉民宿で、女性陣は過去何度も来ており、オーナー夫婦とはお馴染みの仲。明日の登山に向け前祝いの乾杯!
.....(上)会津駒登山で「翌檜」に連泊 (下)イワナや山菜料理が豪華!乾杯~....
★2日目:快晴日に恵まれ、高山植物・高層湿原に心癒され「会津駒ケ岳」を目指す!
登山日を迎え今日も快晴!翌檜を5:50出発して滝沢登山口に6時到着!今回は駒の小屋・大池を経由し会津駒ケ岳に登頂、その先にある中門岳まで行きピストンで帰還する行程です。
.....(左)翌檜を早朝出発 (右)滝沢ルートで会津駒&中門岳を往復する行程コース....
滝沢登山口・木製階段を上がり登山スタート、ここから「水場」まで樹林帯の中をひたすら登る本コース一番の急登が続きます。道迷いの心配はありませんが、いきなり急勾配で延々と長い登り!序盤はペースが上がらないキツイ中で、ウグイスはホーホケキョと優雅に鳴いていました。
.....(左)滝沢登山口をいざ出発 (右)最初から急傾斜の登りはきついネ~....
辛い急坂登りを癒してくれるのは、鳥の囀り声だけではありません。初夏の高山植物が次々に姿を見せてくれました。ミツバツツジ、ゴゼンタチバナ、サンカヨウ、ワタスゲなど盛花の時期に登るのは久しぶり、透明なギンリョウソウ(幽霊草とも呼称)を見たのは何時以来かな・・?
標高を上げていくと森林限界に達し「水場」(視界の開けた休憩ポイント)に出ました。展望の良いベンチがあり、正面には目指す会津駒ヶ岳と中門岳の雄大な平坦稜線が広がっています。 やがて2本の木道が現れ、ここからは360度の展望を楽しみながらの湿原歩きが始まります。
.....(上)会津駒・中門岳の山稜を展望 (下)燧ケ岳を遠望、平坦な高層湿原を行く....
雄大な湿原・池塘・針葉樹林の遥か先に形のいい双耳峰が見えています。あれこそが尾瀬の名峰「燧ケ岳」(東北・最高峰2356m)、その右には「至仏山」、その間に「尾瀬湿原」が広がっています。まさに天空の楽園、尾瀬名峰を眺めながらの雄大な湿原木道歩きは最高の気分だね~!
.....(上)尾瀬の名峰・燧ケ岳&至仏山 (下)鏡のような池塘、木道の湿原歩き....
★残雪風景を一歩一歩楽しみながら、日本百名山「会津駒ケ岳」の山頂に立つ!
オオシラビソ等の針葉樹林に囲まれた広い湿原木道を歩いて行くと残雪風景へと変わってきました。階段状の木道を登り進むと「駒大池」が出現!左手奥には三角屋根の「駒の小屋」が見えています。雪の量は半端なく、池に接する池はエメラルド色、幻想的な水面風景を見せています。
.....(上)「駒の小屋」に到着 (下)多く残雪が残る「駒大池」、幻想的な緑色....
「駒大池」分岐点から右手に雪渓を登っていくと青空が池塘・湿原に映り込む鏡の様な絶景!双耳峰「燧ケ岳」は「駒の小屋」と針葉樹林の背景に位置を変え依然堂々と聳えています。
最後の巻道を登り切ると「会津駒ケ岳」山頂に9:30到着!尾瀬名峰の右手(北側)には平ケ岳・越後三山・荒沢岳など新潟の名峰群が見えます。全て登頂した山々なので懐かしい~!
.....(上)「会津駒ケ岳」登頂で記念写真 (下)尾瀬エリア名峰の位置付け解説....
福島・新潟・群馬県境に位置する尾瀬国立公園は世界的な豪雪地帯、雪が残る6月下旬が一層魅力的な登山が楽しめます。当エリアは平坦な高層湿原峰(平ケ岳・苗場山・田代山など)が多くあり、会津駒ケ岳・中門岳もその特徴を兼ね備えています。次は隣接する中門岳へ向かおう!
.... 会津駒ケ岳から中門岳に至る雄大な平原ルート、雪渓に覆われた絶景歩き.....
★池塘の名峰「中門岳」にも登頂!下山時でトラブル発生するも無事に下山!
会津駒ヶ岳山頂から中門岳へ続く平坦道は眺望が素晴らしく尾瀬エリアの山々で一番美しい稜線と言っても過言ではありません。残雪に覆われた雄大な湿原絶景は一段と感動的です。頂上は池の畔にあり全くの平坦地、こんな山頂風景は一昨年に登った苗場山と同じ印象を受けます。
.....どこがピークかよく分からない中門岳山頂、池越しの燧ケ岳が実に絵になる!....
ここで昼食を摂り天上楽園に身を置く幸福感に満たされました!下山路も同じ道を戻りますが時間は十分・・、余裕の4人はシリセードや雪庇の縁歩きを楽しみながら、まったり午後タイム!
.....下山開始、雪渓と戯れる余裕の時間!この後思わぬ事態に陥るとは予想もせず....
しかし復路でトラブル発生!Ecchanが傾斜木道で足を滑らせ転倒し負傷してしまったのです。小屋で湿布薬を貰い緊急手当を施しましたが相当痛そう・・。彼女の荷物を全員が小分けして背負い、びっこ引いて歩くEcchanを3人で支えながらフォローのスロー下山が始まりました。
帰路コースはまだまだ長い!特に最後の登山口への急傾斜・下り歩きは相当辛かったと思います。しかしEcchanは痛みに耐えながらも頑張り、自力で下山してくれました。当初予定より相当遅れて宿への帰還となりましたが、日照時間が長い6月だったことも幸運なことでした。
.....(左)痛みに耐えた長い下山路 (右)ついに自力で下山、よく頑張りました~!....
山の危険はいつどこで発生するか分からないものだ・・!道に迷うこともない安全なコースですが余裕を持った行動計画にして結果的によかった!翌檜に戻り、無事帰還を祝い皆で乾杯~!
.....(上)宿に無事帰還、お疲れ様でした! (下)イワナ骨酒に目がないK岡さん....
★最終日:檜枝岐村を一人早朝ウォーキング!2泊3日山旅を終えて・・
最終日は早朝4時に起床し一人で檜枝岐村の界隈を1時間45分ほど早朝ウォーキング!前日は歌舞伎舞台などを訪問しましたが、駒の湯・歴史民俗資料館・公民館・安宮清水など檜枝岐川沿いの隠れた穴場を巡りながら1万歩以上。6時前に宿へ戻り、朝温泉に浸かって朝食タイム
....早起きして一人で檜枝岐村ウォーキング、川沿いに歩き穴場を次々発見!....
連泊した「翌檜」に別れを告げ8:30出発!平家落人の秘境里・檜枝岐村の人口は 600 人で人口密度が日本一低い村ですが、歌舞伎伝承を守っていく集落の団結力・地元愛・意志を感じました。帰路は急な豪雨に天気が変化しましたが、観光・登山日が快晴に恵まれてラッキーでした!
..... 「安宮清水」、風格ある公民館、檜枝岐村の公営温泉「駒の湯」などを巡る....
.....(左)檜枝岐村の観光案内看板 (右)佐野SAで佐野ラーメンを食べて無事帰京....
今回も快晴登山に恵まれ、連続無敗記録を40(29勝11分)に伸ばせました。全国200名山登頂は175座(百名山88、200名山87)、残り25座となりましたが全山制覇まで10年近くかかりそうな感じ・・。この4人でも北海道・東北の名峰を幾つかご一緒したいと願っています。
おわり
# by rollingwest | 2023-07-30 00:00 | 東北の山 | Comments(202)