<2017年11月>静岡中部・駿河国(中遠)探訪③:「焼津・島田・牧之原」編




静岡中部・駿河国探訪①:「由比・清水」編
駿河国探訪②:「静岡・丸子・藤枝・焼津」編より続く
★焼津で駿河湾夜明けを満喫し「焼津神社」へ
郷愁懐古の一人旅・静岡県中部の見所紹介シリーズ(2017年11月周遊)を「駿河エリア」編がまだ完結していませんでした。早く筆を進めなきゃ次の新シリーズ紀行に入れない・・。前回①②編は、清水・静岡・丸子・焼津でしたが、続きの記事(駿河の国:最終編)を久しぶり2年越しにレポートします。
.....静岡中部レポート駿河の国③(最終編)は焼津・島田・牧之原エリアを周遊.....






今回は焼津から島田の大井川「蓬莱橋」、金谷、牧之原茶畑・静岡空港、相良油田等の駿河から中遠にかけての風景を紹介します。東西に長い静岡県を西側方向に彷徨ローリングしていこう!(by rollingwest)
.....(上)駿河湾・伊豆半島に日の出が昇る (下)焼津海岸からの朝日を浴びて出発.....






焼津・大崩海岸の展望台で駿河湾の素晴らしい夜明け風景を撮影した後は、まずは「焼津神社」に参拝して行きましょう!焼津の地名由来は「古事記・日本書紀」に登場する日本武尊(ヤマトタケル)の伝説に由来します。
.....記紀の日本武尊に由緒深い「焼津神社」(草に火を付け焼き払った伝説に由来).....


天皇から東征命令を受けた日本武尊は駿河の地で賊に囲まれ火攻めに遭いましたが、草を薙ぎ払い向い火をつけ難を逃れたのです。伝説から当地は「ヤキツ」(焼津)と称されました。
....焼津神社にある鎮座する「さざれ石」、ヤマトタケル神話に思いを馳せて参拝.....



静岡市日本平にもヤマトタケル伝説の「草薙神社」が鎮座していますが、こちらは草を薙いだことに由来する地名です。どちらが本当の伝説所在地なのだろう?まあ天岩戸伝説も全国各地にあるし、「神の由来はわが地が正統だ!」と夫々地元の方々は信じていることでしょう。
★世界一長い木道橋「蓬莱橋」と大井川風景
焼津市から島田市に向かい大井川に架かる世界一長い木造橋「蓬莱橋」を久しぶりに訪問!12年前にギネスブック認定された木製歩道橋は地元では有名な場所ですが、全国的にはまだ知名度が低い気がします。今回で3度目の訪問ですが圧巻風景は全く変わっていない!

.....世界一長い木造歩道橋「蓬莱橋」は全長約900m、1997年ギネスブック認定された.....







法律上は農道に分類されている有料橋(通行料100円)で歩行者や自転車のみ通行が許可されています。過去何回も襲われた大井川の氾濫被害を受けた歴史教訓から、渡し板は木製橋ですが脚構造は鉄筋コンクリート製となっています。
.....(上)南アルプスからの膨大水量河川「大井川」 (下)20年前に家族で訪ねた写真.....






蓬萊橋は牧之原台地開墾のため明治12年に架けられました。橋建設前は大井川を小舟で渡る危険を伴っていたからです。江戸時代の東海道往来で当地は箱根峠越えと並ぶ交通の難所でした。大井川を渡るためには川越人足たちに肩車をしてもらう必要があったのです。
.....広大な大井川風景を見ながら向こう岸まで渡り、再び今来た木道橋を満喫して戻る....




.....東海道の交通難所「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」と唄われた....



★東海道「金谷宿」「小夜の中山」、大井川鉄道「金谷駅」の風景
川越人足に肩車をしてもらい大井川を渡り切った所に「金谷宿」がありました。東海道五十三次24番の宿場で、隣の日坂宿(掛川)まで旧東海道に復元された石畳が敷き詰められています。街の喧騒から離れたこのルートは江戸時代の旅人と同気分の散策は実に楽しそう!
.....「曙も夕ぐれもなし鶏頭華」が刻まれた自然石碑。六角堂地蔵尊もある石畳道.....





金谷にはSL関連(機関車トーマス等)で子供達にも大人気の大井川鉄道の駅があります。大井川沿いに登っていく山岳渓谷を走る長大な地方鉄道(寸又峡温泉や接岨峡温泉への観光ルートへの足場)となっており、金谷駅がその起点となる駅です。
.....(左)金谷駅は親子連れで大賑わい (右)大井川鉄道は峻険な南アルプス渓谷を往く.....




JR駅と大井川鉄道駅は別々の駅舎を有していて、JR側の駅舎はごくありふれたタイプの雰囲気ですが、大井川鉄道側駅舎は、SL関連の展示があったり、沿線風景の写真が飾られていたりと、ローカルムード満点、親子連れの観光客が溢れていました。
.....新金谷駅はSL展示の宝庫、鉄男・鉄子の鉄道マニアには堪らない魅力場所.....




旧東海道の日坂宿と金谷宿の間にある「小夜(sayo)の中山峠」は、急峻坂の続く街道の難所でした。鬱蒼とした樹木に埋もれた暗い街道は当時山賊も横行する怖い峠越えの道だったようです。
.....「小夜の中山峠」は東海道五十三次街道歩き・江戸時代の旅風情を味わえる場所.....


現在は道や公園も整備され、ハイキングや史跡散策コースとして親しまれています。小夜の中山には「夜泣き石」伝説が残されています。久延寺に安産祈願にきた妊婦が中山峠を越える途中で山賊に襲われて殺されてしまいました。
.....小夜の中山峠に鎮座する「久延寺」、ここで妊婦が山賊に襲われる悲劇が起こった.....


母の魂は切り腹から生まれた赤ん坊を守るため石に憑依し「夜泣き石」となりました。石の泣き声に気づいた寺の住職に拾われた赤ん坊は、乳の代わりに水飴を与えられ大事に育てられました。
....小夜の中山峠には「夜泣き石」の悲しき伝説石碑や西行法師の歌碑がある.....





そして育てられた子供は立派に成長し、母親を殺めた山賊を見つけ出しその仇を討ったのです。夜泣き石は小夜の中山トンネル脇に据えられており、伝説ゆかりの久延寺にも似た形の石が祀られています。
★「牧ノ原台地」の茶畑と「富士山静岡空港」
静岡県のお茶は日本茶の三大銘茶の一つでお茶の生産量は全国の4割占めトップで日本が誇る茶処。最大産地の一つ「牧之原台地」(静岡県中西部の丘陵地)訪ねてみました。標高100~200mの広大な台地に一面の茶畑風景が延々と広がっており実に壮観です!
.....癒される風景「牧之原台地」、大井川を眼下に茶畑が続き遠く富士山を眺望できる.....




牧之原台地には「富士山静岡空港」があります。2009年に札幌・福岡線運航で開港した地方空港(フジドリームエアラインズが運営)で「こんな空港があったの?」って皆さん驚かれると思いますが、草地に富士山を遠望できる広大な空港風景はレアなお宝物的な撮影SPOT!
.....「富士山静岡空港」、広大草地に冠雪富士山、飛行機姿もまばらな不思議な景色.....





政府が離島以外の地方空港新設抑制の方針を打ち出していることから、マスメディアなどから「最後の地方空港」と呼ばれています。静岡空港開港に至るまでは紆余曲折がありました。
....島田市と牧之原市に跨る地方管理空港は採算赤字になっていないのだろうか?.....




この空港の開設可否は建設反対派との対立(住民投票条例請求)があり大モメでした。東京と名古屋には新幹線があるしこんな不便な場所に空港が必要なのか!その赤字は自治体が負担することになるのではという意見です。最終的には知事決断で強引な開港となりました。

この広大な野原に飛行機の姿は1~2機、果たして採算は合っているのかどうか不安な気持ちになりますが、ここ数年はインバウンドブームで富士山目当てのアジア系観光客の当空港への直接乗入れが急増しています。地方に観光ツアーが分散することはいいこと。結構うまく行っているもかも・・
★太平洋側雄一の国内原油「相良油田」を見学して帰路へ
最後にもう一つ「目から鱗」の穴場見所を紹介します。太平洋岸に国内原油がかつて生産されていた時代があったことをご存知でしょうか?牧之原市の里山風景の中にひっそりと佇む「相良(sagara)油田」の掘削坑跡地で現在は「相良油田の里公園」として整備されています。
....太平洋側唯一の「相良油田」、静岡県に国内油田があったことは殆ど知られていない.....

公園内には手堀井戸小屋や油田坑の資料館があり昔の石油採掘歴史を学ぶことができます。相良油田は明治5年、当地に油臭い水が出ることと聞いた元徳川藩士が発見し、2年後に長野石炭油会社によって日本初の機械掘りが行われたされたことに始まります。
.....国産原油を産出した新潟県に生まれたRWにとって「相良油田の里公園」は深い親近感.....



精製せず使用できる世界的にも希な軽質油ですが、産油量激減や外国の安い原油輸入で1955年採掘停止となっています。静岡県は新潟県とフォッサマグナ構造線で結ばれているジオサイトだから原油も出るんだろうなあ・・と納得した次第です。
.....「相良油田資料館」の展示を興味深く拝見、日本の近代化に貢献した史跡なんだネ~.....




一昨年11月久しぶりに静岡県の空気を味わいたいと思い立ち、郷愁懐古の一人旅(1泊2日)は静岡中部探訪(駿河の国)3編で纏めましたが今回は一旦完結!世界文化遺産・富士山の冠雪雄姿も色々な角度から眺める旅を楽しんで頂けましたでしょうか?
.....静岡中部探訪(1泊2日)の郷愁一人旅を終えて帰路へ(富士川付近からの霊峰絶景).....


次回は、今回同様に「遠州」(掛川・袋井・磐田・浜松・浜名湖等)再発見の一人旅に出かけて静岡県西部レポートを再開していきたいと思っています。これからもお楽しみに~!
大井川と蓬莱橋 富士山と旧東海道 の今昔
おわり
▲ by rollingwest | 2019-01-17 21:00 | Comments(153)